2010/12/1
諸国三霊泉
江戸時代の下呂温泉山形屋へ時間旅行
江戸期の儒学者・林羅山によって、有馬・草津と並ぶ「日本三名泉」のひとつに数えられた下呂温泉は、10世紀に湯が峰の山頂付近に温泉が湧出したのが始まりとされ、千年以上の歴史を誇ります。鎌倉時代以降は、現在の飛騨川沿いに温泉が移動し、明治期までは河原に掘った露天風呂が下呂温泉の標準的な入浴スタイルでした。
天保12年(1841)に出版された江戸時代の旅館ガイドとも言える『浪花講定宿帳』に掲載されている創業間もない山形屋も、河原の露天風呂を楽しんだ旅人を料理や宿泊でもてなす宿だったことでしょう。
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- 『諸国三霊泉 下呂温泉』
180年の時を遡り、往時のイメージをアーティスト・ふるかはひでたかが、作品によってよみがえらせたのが『諸国三霊泉 下呂温泉』の絵図です。安藤広重による33枚の浮世絵風景画から、江戸期の下呂温泉にふさわしい風景・人・物を集めて、歴史ある山形屋のために新たに制作したこの作品は、実は過去にはどこにも存在したことのない浮世絵です。左手に見える宿は山形屋でしょうか? 長い歴史を経て、今も変わらぬ山形屋のもてなしの心を、広重の浮世絵にたくして現代に届けます。
ふるかはひでたか
1968年、愛知県刈谷市生まれ。1994年、東京芸術大学美術学部大学院美術研究科 壁画専攻修士課程修了。1991年から個展、グループ展で作品を発表。2000年から、さまざまな生物種の目を持つダイスによる『神なき楽園』、用途を持たない道具を「目的から切り離された手段に対するカリカチュア」とした『道具/純粋手段』、名もなき空き地の“名所化”による『「物語」の解体と再生』など、洗練された緻密で知的、そして不思議なユーモアを内包したコンセプチュアルな作品を発表している。